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【障害年金】精神疾患の診断名、なぜ人それぞれ?異なる理由を徹底解説!

精神疾患は、身体的な疾患と異なり、明確な検査で診断できるものが少なく、主観的な症状や体験などに基づいて診断されます。
同じ症状であっても、人によって現れ方や程度が異なるため、医師の解釈や経験によって診断が異なる場合があります。
障害年金の認定基準による「精神の障害」は、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」「気分(感情)障害」「症状性を含む器質性精神障害」「てんかん」「知的障害」「発達障害」に区分されます。
この区分は、WHOの国際疾病分類表第10版(ICD-10)によるもので、このコード表に基づき審査が行われます。
では、なぜ医師によって精神疾患の診断名が違うのでしょうか。

目次

精神障害にはどのようなものがあるか

精神障害がなぜ起きるのか、それはまだはっきりとわかっていません。
これまでの研究結果から、精神症状は脳の神経間の情報伝達が上手くいかないために起こるのではないかということが考えられています。
その原因として、身体的原因(身体因)、精神的原因(心因)とに大きく分けられています。
さらに身体因は内因と外因に分けられ、精神疾患は便宜的に「内因性」「外因性」「心因性」の3つに分類されます。

〇内因性
精神疾患の発症が、主に遺伝や生まれ持った体質(器質)、素質による脳の機能障害に起因していること
・含まれる精神障害
いわゆる内因性精神病であり、うつ病(DSM-5)/大うつ病性障害(単極性障害)、双極性障害(躁うつ病、さらに広義には躁病や反復性うつ病も双極性障害に含まれる)、統合失調症など

〇外因性
外部から加えられた原因として、身体的な疾患や負傷、障害、外的刺激などが、精神疾患の主な発症要因となっていること
・含まれる精神障害
脳の損傷・外傷、パーキンソン病、脳血管障害、高次脳機能障害、甲状腺疾患、炎症性疾患、感染症、脳の萎縮、薬物・アルコール・タバコへの依存などによる精神障害、認知症など

〇心因性
過度のストレスやトラウマ、ある種の性格傾向など心理的な問題が疾患の主な要因となっていること
・含まれる精神障害
心身症、病気不安症、神経症状障害、適応障害、パニック症/パニック障害、自律神経失調症、摂食障害、睡眠―覚醒障害、性関連障害、ストレス因関連障害など

最近では、内因だけでなく環境因が様々に影響し発病すると考えられており、「内因性精神病」という呼び方は少なくなってきています。

精神科医はどのように診断するのか

では、客観的な診断の指標がない精神疾患はどのように診断されるのでしょうか。

内科、外科的精神障害を除外する

内科、外科的な疾患の場合、患者本人が症状に気づくあるいは健康診断などで異常が発見されます。そのうえで病院を受診することがほとんどでしょう。
また、内科、外科的疾患の場合でも、身体症状はほとんど目立たず精神症状のみの場合もあります。
したがって、どの精神科の病気を疑っている時でも、身体検査を実施し、内科、外科的な病気の可能性がないかを調べます。
なぜなら、内科、外科的精神障害は身体疾患の治療を行うことで、症状が改善する可能性があるからです。逆に身体疾患があることが分からず、精神疾患に対する治療を継続しても病状は悪化するばかりです。

精神症状を起こしうる身体疾患には多くの種類が存在します。
代表的なものでは、代謝・内分泌疾患(糖尿病、甲状腺機能低下症、亢進症など)、脳器質疾患(脳腫瘍、脳梗塞、頭部外傷など)、全身感染症 などがあげられます。
また、ステロイドなど薬剤でも精神症状を引き起こすものが数多くあります。

これらを除外するために、血液検査や頭部CT、MRIなどの画像検査を行います。
また、精神症状が出始めた時期と薬の服用開始時期が重なる場合は、薬が原因である可能性も考慮し、薬の使用を中断して経過観察を行う場合もあります。

診断基準に基づき病名を確定する

身体疾患や薬の影響などを排除した後、精神症状を起こしている病名を確定します。
精神科疾患では、ICD-10やDSM-5といった国際的な診断基準が広く用いられています。
医師は可能性のある疾患を複数候補として挙げ、検査結果、診察時の患者の様子、患者本人や家族からの訴え、日常生活や就労状況などがどの疾患の診断基準に一致するのか総合的に判断し、診断を導いていきます。
しかし、精神疾患は急激に症状や病状が変化する場合もあるため、医師には知識や能力、経験が求められ適切な疾患基準にたどり着くこと自体が難しくなります。

障害年金の対象となる精神疾患を詳しく知りたい方は、下記のリンクをご参照ください。

なぜ、人によって診断名が異なるのか

同じような症状であっても、人によってなぜ診断名が異なるのか、その理由を見てみましょう。

診断基準を満たす病気が複数ある場合

障害年金の診断書を作成してもらうと、これまで診断されていた病名と違う病名が書かれていたということが実際にはよくあります。
その理由として、診断基準を複数満たす病気がある場合、複数の診断名が患者につくためです。
これを「併存障害」といいます。
例えば、パニック障害などの不安障害の人がうつ病を併発する、あるいは自閉症スペクトラムの人が二次障害としてうつ病や双極性障害、不安障害を併発する、などは実際によくみられることです。
このように複数の精神障害の診断がつく場合に、本人が混乱しないように当初の病名しか伝えていないことも少なくありません。
ただし、障害年金の請求にあたっては、何が生活に支障を与えているのか詳しく記載する必要があります。当初伝えていた精神障害よりも併存する精神障害の方が、日常生活や就労など社会生活に強い悪影響を及ぼしていると考えられる時は、病名を変更することはあり得ることです。
ただし、本人も家族など周囲の人も、いきなり病名が変わると戸惑うことでしょう。
もし、不明な点や不審に思うことがあれば、慌てず病名変更の理由を主治医に確認しましょう。

病状が上手く伝わっていない

多くの精神疾患は、人に会う、外出する等が困難な場合が多くあります。病院を受診する時は、おそらく状態が良く外出が可能な時だと思われます。状態が悪ければ病院へ行くことすらできず、予約をキャンセルしてしまう人も多くいます。
また、良く見られたい、自分はできる人間だ、薬を増やされたくないなど様々な理由から、医師の前では回復している様子を演じる方もいます。
コミュニケーション障害から、自身の状態や困りごとを上手く伝えることができない人もいます。診察時間内で日常生活状態や仕事での困りごとやサポート状態など、すべて医師に伝えることも難しいでしょう。
このような理由から、医師に本当の自分の病状をわかってもらえなければ、自分が思う診断がなされないこともあります。

医師に日常生活の現状を正しく伝える方法はこちら

主治医には聞きにくい?

診断名に不明な点等ある場合、主治医に理由を確認するのが最も近道ですが、主治医との関係性を考えると聞きにくい場合もあるかもしれません。障害年金に否定的な医師であればなおさらです。
障害年金の診断書を書くことを拒否される医師も実際にいます。
主治医が診断書の記載を拒否する、当初の診断名を記載しないなどの場合、可能性として最も考えられるのは、障害年金を受給することで就労への意欲が減退してしまうのではないかという点です。精神疾患が原因で仕事ができないと収入がなく生活することが困難となります。短時間でも何か仕事をしようと思うことにより、活動が一歩前進し、病状の改善につながります。障害年金の受給がその足かせになってしまうのではという点から、診断書を記載することを躊躇することや、本人に対し現在の精神疾患では障害年金受給は無理だと伝えることは実際にあります。
そのような主治医の意向を無視することは、あまりお勧めできません。

相談員に相談してみる

「思っていた診断名と違う」「主治医が診断書を書いてくれない」などという相談は、病院の相談員(精神保健福祉士・ケースワーカー)などの病院のスタッフに相談してみるとよいでしょう。現在は精神科や心療内科だけでなく多くの病院に相談員が配置され、また患者相談窓口が設置されています。受診している病院やクリニックの相談員(精神保健福祉士等)は患者の状況をよく知っていますし、主治医の性格も知っていると思いますので、どう対応したらよいかアドバイスをもらえるかもしれません。

まとめ

医師は医療の専門家です。様々な検査や問診を行ったうえで、診断を行います。
思っていた診断がなされないので、いきなり理由を聞くのはやはり失礼に当たります。
理由があっても、説明を求められることを良く思わない医師もいます。
医師に理由を尋ねる前に、まず診察時の自己チェックをしてみてください。
実態とのずれは、もしかしたら患者側にあるかもしれません。

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