親亡き後のお金の準備
そこで親がしておきたいのは、財産をたくさん残すことより、少ない財産でもそのお金を使って障害のあるわが子が安心して暮らせるよう準備しておくことです。障害年金制度や障害福祉制度など、公的制度や支援の仕組みを知っておくことも大切です。また信託や成年後見制度などの利用を検討することも一つの方法です。
今回は、「保険」を活用して将来に備える例を見ていきましょう。
目次
生命保険信託を利用して生活費を管理
「生命保険信託」は、保険会社と信託銀行が連携して行うサービスで、契約者(親)が亡くなった後に指定した方法で保険金を受取人(子)に渡したり、管理したりできます。保険金は通常は受取人の口座に直接振り込まれますが、生命保険信託では、加入先の保険会社が提携している信託銀行の受取人名義の口座に入金されます。そこから子どもの生活口座など指定した口座に、指定した振込方法で保険金が振り込まれます。
例えば「分割して20年間、2か月ごとにA口座に振り込む」など、細かく指定が可能です。加入する保険は自由に選べますが、終身保険を選ぶ方がよいでしょう。具体的に保険金を使用する目的まで指定しておけば、目的通り使われているかチェック機能もあります。
生命保険信託の導入当初は保険金額も3000万円くらいからと高額でしたが、現在は200万円程度から引き受け可能な保険会社もあります。ただ、すべての保険会社が取り扱っているわけではなく、引受け可能な保険会社が限られています。そのため、生命保険信託に関心がある場合は、各生命保険会社の公式ホームページなどを参照し、直接連絡を取る必要があります。
生命保険信託を活用することで、保険金を一括で受け取ることによる予期せぬ浪費や、犯罪に巻き込まれるリスクを軽減できるでしょう。
障害のある方向けの総合保険
「ぜんちのあんしん保険」(ぜんち共済)は、知的障害、発達障害(自閉スペクトラム症、ADHDなど)、ダウン症、てんかんなどの子どもと74歳までの親族が加入できる保険です。
例えば新Aー1ベーシックプランは、年間18,500円の保険料で1日5,000円の入院保障、手術、入院一時金が支払われます。さらに発達障害や知的障害などの方がトラブルに巻き込まれ、上手く状況説明ができずに警察に連行されるようなケースの場合の弁護士委任費用や接見費用などがついています。また、子どもがパニックになり器物破損や第三者にけがをさせたりした場合は賠償責任保険金が支払われます。
子どものケガや病気の保障だけでなく、トラブルに巻き込まれたときには解決までしっかりサポートしてくれるので、親亡き後も安心です。
まずは情報収集
親が元気なうちに、様々な情報を得る、相談窓口を把握する、そして自分たちにあった対策を取っていただくことが、不安解消の第1歩です。
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