障害年金の対象となる精神疾患の診断名を徹底解説!
誰でも無条件に受給できるものではなく、一定の条件を満たす必要があります。
障害年金は、一定の条件を満たしていれば、様々な病気で受給することができます。
身体障害、がん、内臓や循環器系障害、人工透析などとともに精神疾患も対象です。
広範囲の病気やケガが対象となり、精神疾患も治療が長期化、重症化することが多いことから受給対象となっています。
ただ、精神疾患については障害年金の対象とならない病名が一部存在するという、見落とせないポイントがあります。
対象外の診断名で診断書を書いてもらっても、障害年金は申請出来ません。
精神疾患において対象となる診断名、ならない診断名を確認しましょう。
目次
精神疾患による生きづらさ
精神疾患には様々な症状や病名があり、日常生活のさまざまな場面で支障をきたす可能性があります。例えば、うつ病の症状では、気分が落ち込み、やる気が出なくなり、仕事や勉強が手につかなくなることがあります。不安障害の症状では、不安や恐怖に襲われ、人混みや外出を避けるようになることがあります。統合失調症の症状では、幻覚や妄想に悩まされ、社会生活を送ることが困難になることがあります。双極性障害の症状では、躁うつ状態を繰り返し、躁状態では衝動的な行動を起こしたり、うつ状態では意欲がわかなくなったりします。発達障害の症状では、コミュニケーションや対人関係、学習、生活面などで困難を抱えることがあります。
精神疾患の生きづらさは、症状によっても異なりますが、一般的には以下のようなものが挙げられます。
日常生活のさまざまな場面で支障をきたす
周囲の人との関係がうまくいかない
社会生活に参加することが困難になる
自殺念慮や自殺行為を起こす
精神疾患の生きづらさは、本人だけでなく、家族や友人にも大きな負担となります。精神疾患の生きづらさを抱えている人は、適切な治療や支援を受けることが大切です。
障害年金は、社会的支援の一つの方法です。
うつ病や発達障害などで仕事や家事、日常生活に支障が出てしまっている方に対して、一定の条件を満たすと障害年金が支給されるということになります。
診断書の記載される病名(ICD-10コード)
障害年金の申請は、精神疾患に限らず多種多様な病名で申請が可能です。
しかし、精神疾患に絞ると対象外となってしまう病名がいくつかあります。
病名にはICD-10コードと呼ばれるものが割り振られています。
ICD-10とは、**「International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems」**の略称で、世界保健機関(WHO)が定めている国際疾病分類のことです。
ICD-10は、世界各国で起こるすべての病気を体系的に分類・コード化したもので、医療統計、疫学研究、医療保険請求など、さまざまな目的で広く利用されています。
障害年金の診断書の傷病名欄にもICD-10コードの記載箇所があり、審査において重要な意味を持ちます。
このコード番号によって受給対象か対象外か区別されますので、入念な確認が必要です。
対象となる主な病名
対象となる主な病名は、以下のようなものがあります。
・うつ病、反復性うつ病、双極性感情障害(躁うつ病)
・統合失調症、持続性妄想障害、統合失調感情障害
・発達障害、広汎性発達障害、ADHD、自閉症スペクトラム障害
・知的障害、精神遅滞
・高次脳機能障害
・アルコール使用(飲酒)による精神および行動の障害
・アルツハイマー病の認知症
うつ病や双極性障害などは、気分(感情)障害というグループで「F3」から始まります。
例えばうつ病は「F32」、反復性うつ病は「F33」というように対象疾病となります。
また、統合失調関連は「F2」から始まり、統合失調症「F20」、持続性妄想障害「F22」など
このグループも対象となります。
発達障害関連の疾病では広汎性発達障害「F84]、ADHD「F90」などが付き、これも受給対象です。
その他精神遅滞・知的障害「F7」、高次脳機能障害「F06」、アルツハイマー型認知症「F00」なども精神疾患の診断書で請求することとなり、対象病名となります。
対象外の病名
一方で、対象外の病気となってしまうのが「F4]から始まる神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害です。
神経症やパニック障害、不安障害、人格障害、解離性障害などの病名及びコード番号で診断書が作成されると、基本的に認定の対象外です。
社会保険審査会では神経症は「自分で症状のコントロールができる可能性があるため疾病利得になりやすく、障害年金の対象としない」という考え方があります。
しかし、パニック障害などは特定の状況においては制御不可能となりますし、長期間闘病されている方も多いのが現実です。病状と審査基準がかけ離れていることも、障害年金の受給困難の原因の一つと言えるでしょう。
ただし、パニック障害でもうつ病などの病気が併記されていれば対象になりますし、メインの診断名が不安障害のみであっても、現実に精神病圏の臨床症状が見られるのであれば、そのことを診断書裏面の備考欄に症状とコード名を付記してもらうことにより対象となりえますので、医師に相談、確認してみましょう。
「うつ状態」は正式な病名ではない
病名欄に「うつ状態」と書かれている診断書を見かけますが、これは正確には病名ではありません。
うつの「状態」を示したものであってその背景としてうつ病からきている症状なのか、適応障害なのか、発達障害の二次障害としてのうつ状態なのか等を明示する必要があります。
医師によっては、会社宛ての診断書には「うつ状態」と書いて、障害年金の診断書では「うつ病」とかき分けることがあると言います。その理由の一つとして、「うつ病」と書いてしまうと会社に復帰することが難しくなってしまうことを懸念して「うつ状態」と配慮するということだそうです。
まとめ
障害年金は、様々な傷病により仕事や生活に支障が出てしまっている方を対象としています。
しかし、精神疾患は障害の状態を数値化できません。
また、診察する医師により異なる病名が付くことも少なくありませんし、長期化すると症状が変化し新たな診断がされることもあります。
いざ障害年金を申請しようと考えても、精神疾患の場合は対象とならない病名がありますが、不安障害や人格障害などの対象とならない神経症性障害の場合には、これ以外の傷病にかかっていないか確認することで障害年金受給の可能性を探ることになります。
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