障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法
コミュニケーションの方法は、障害によって異なります。
聴覚障害の人は、字幕・手話通訳・要約筆記・コミュニケーションボードなど
視覚障害の人は、点字や音訳などが必要です。
この法律は、すべての障害者があらゆる分野の活動に参加するためには、情報をきちんと得て利用できること、意思疎通が円滑にできることが重要であるという考えから、障害にかかわらず必要な情報に適切にアクセスできる環境を整え、共生社会の実現を図るために令和5年5月25日施行されました。
目次
アクセシビリティとコミュニケーション
アクセシビリティとは、どういうことでしょうか。
「日本語大辞典」によると
「アクセシビリティとは、アクセスのしやすさ。目的地や情報などに対する近づきやすさ、入手しやすさ、使いやすさなどをいう」とされています。
つまり、この法律における「アクセシビリティ」とは、高齢の方や障害をもっておられる方などを含め、誰でも必要とする情報に簡単にたどりつけ、提供されている情報や機能を利用できることを意味します。
そのための、障害があってもなくても、どのような地域に住んでいても
様々なコミュニケーション手段を選択し、利用し、同じ内容の情報を同じ時点で取得できるようにしましょう
というのが、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法なのです。
基本理念・基本施策
基本理念・基本瀬策は次の通りです。
基本理念(第3条)
①障がいの種類や程度に応じた手段を選択できるようにする。
②日常生活や社会生活を営んでいる地域にかかわらず等しく情報取得等ができるようにする。
③障がい者でない者と同一内容の情報を同一時点において取得できるようにする。
④高度情報通信ネットワークの利用・情報通信技術の活用を通じて行う(デジタル社会)
基本施策(第11条~16条)
(1)障害者による情報取得等に資する機器等(11条)
(2)防災・防犯及び緊急の通報(12条)
(3)障害者が自立した日常生活・社会生活を営むために必要な分野に係る施策(13条)
(4)障害者からの相談・障害者に提供する情報(14条)
(5)国民の関心・理解の増進(15条)
(6)調査研究の推進(16条)
詳細については、下記のリンクを参照ください。
厚生労働省 障害者による情報の取得利用・意思疎通に係る施策の推進
明石市の取り組み
当事務所は、兵庫県明石市にあります。
明石市は、福祉政策に大変力を入れています。
この障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法が施行される前から
独自の取り組みを行っていました。
例えば
・平成27年度から、市内すべての小学校で手話教室を開催
・手話検定などを活用した職員手話研修の実施
・手話通訳士の有資格者を正規職員に採用
・コミュニケーション支援体制の充実及び制度周知
などです。
また、この国の施策を受けて
手話言語・障害者障害者コミュニケーション条例が制定されました。
基本理念として
①障害のある人とない人がお互いの違いを理解して、ありのままを認め合う。
②自分の障害に合った方法でコミュニケーションをとることを大切にする。
③手話も日本語や英語と同じように、ことばとして長い間使われてきたことを理解し、手話を広める。
条例の2つの目的
①手話は言語である
手話が独自の言語であることを認めたうえで、いろいろな方法で手話と手話への理解を広めていきます。
②いろいろなコミュニケーション手段の利用
要約筆記や点字、音訳など手話以外のいろいろなコミュニケーション手段についても、選べるようにしていき ます。
すべての人に必要な情報を
障害のある人だけでなく、高齢者や子育て世代、生活困窮者や仕事を探す人など
誰しもがその人にとって必要で適切な情報を取得し、利用することが重要です。
誰もが安心・安全に暮らしていくための取り組みとして、この法律は制定され、施行されました。
多くの人が手話などを理解し、様々な方法でコミュニケーションをとってみることが、
お互いの理解につながることと期待されます。
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