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障害年金の「障害」とはどのような状態なのか



障害年金は日本国憲法第25条(生存権)の基づく社会保険制度です。
障害や病気のため、日常生活や仕事が困難な状況にある人を支えるとても優れた制度なのです。
しかし、一般的にはとてもなじみの薄い制度でもあります。
国や日本年金機構も積極的に周知を図っているとは言えません。

公的年金は請求しないともらえません。
老齢年金も65歳になったら自動的に受け取れるものではなく、請求しないともらえません。
障害年金も同じことです。請求しないともらえません。
相談者の中には「障害年金なんて知らなかった」という方が大勢いらっしゃいます。
医師ですら制度についてほとんど知らない、という状況です。

しかも「障害」年金という名称も、ほとんどの人には当てはまらないのではという
誤解を招く要因の一つかもしれません。

では、障害年金における「障害」とはどのような状態なのかお伝えいたします。

目次

障害年金における「障害」とは

どのような「障害」状態になれば障害年金を受給することができるのでしょうか。
「自分は障害年金を受けることができるような状態なのか」「手足が動くから無理なのではないか」などと悩んでおられる相談者は少なくありません。

障害者基本法における「障害者」とは、身体障害、知的障害又は精神障害があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受けるもの」と定義されています。

このような「障害者」の定義から鑑みて、障害年金における「障害」の状態は、日常生活や仕事をするうえでどのくらい支障があるのかを「障害年金認定基準」に沿って判断されます。
障害の程度によって、国民年金加入者は障害基礎年金1級~2級、厚生年金加入者は1級~3級あるいは障害手当金が支給されます。

障害手当金は、初診日において厚生年金加入者であった人が、初診日から5年以内に病気やケガが治り、3級よりも軽い程度の障害が残った時に、一時金として支給されるものです。

障害年金の障害等級

障害年金の等級は1級が一番重い状態です。
障害認定基準(国民年金・厚生年金保険障害認定基準)では、以下の通りです。

(1)1級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不要ならしめる程度のものとする。この日常生活の用を弁ずることを不要ならしめる程度とは、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである。
例えば、身の回りのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち病院での生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるものである。

(2)2級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。この日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、にちじょうせいかつは極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のものである。
例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り・下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである。

(3)3級
労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。
また、「傷病が治らないもの」にあっては、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。

(4)障害手当金
「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。

障害年金と障害者手帳の等級は必ずしも一致しない

身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳や療育手帳の等級と障害年金の等級は別物です。
それぞれの障害者手帳の制度とと障害年金の制度の根拠となる法律は違います。
いずれの申請においても医師の診断書の内容によって判断されますが、根拠法や制度が異なりますので、
障害者手帳の等級と障害年金の等級が同じと判断されるわけではありません。
また、障害年金を申請する要件として「障害者手帳の取得」はありませんので、障害者手帳を取得していなくても障害年金を申請することはできます。

障害年金の対象傷病は広範囲

障害年金の対象となる障害や疾病は、大変範囲が広く最近では「発達障害」や「ガン」などでも受給できる場合があります。
当事務所でもこれまで幾人かガン患者さんの障害年金の受給請求をお手伝いをし、受給することができました。

「ガン」が「障害」というと、なんだか違うような気がしますが、障害年金でいうところの「障害」は

①生理学的・身体的能力に欠損があること
②病気やケガのために労働に制限があること
③病気やけがのために日常生活に制限があること

このような状態が長期にわたって回復しないあるいは永続的であるかということです。

このような状態にあてはまるのであれば、「ガン」であっても「糖尿病」であっても、初診日要件や保険料納付要件等を満たしていれば、障害年金の受給対象であるといえます。

あきらめる前に相談を

障害年金の「障害の状態」とは、身体的なものだけでなく仕事をするうえでの障害や、日常生活や社会生活を営むための障害など様々な観点から判定されます。
働いているから請求できない、あるいは自分の症状や程度なら申請しても無駄ではないかと考えて申請を見送る方もいることでしょう。
まずはあきらめずに、ご自身の傷病の状態や生活する上での困りごと、仕事などについて整理して、お近くの年金事務所や社会保険労務士になどに相談してみてください。

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