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就労中「働いていると障害年金は受給できない」という誤解



「仕事をしている間は、障害年金は受給できないのですか」という質問をよくいただきます。

障害年金に対して、このようなイメージをお持ちの方は少なくないようです。

実際に主治医から「働いているから障害年金は無理でしょう」と言われた方もいます。

結論から申し上げますと、働きながら障害年金を受給することはできます。

受給申請にあたり「就労」は確かに重要な審査ポイントの一つです。

しかし働いているからと言って、必ずしも障害年金を受給できないわけではありません。

働いて収入があったとしても、一定の障害状態にあれば支給されます。

 

 

目次

就労していても障害の程度が支給要件に該当しているか

障害年金は「初診日・保険料納付・障害の程度」の3つの条件を満たしていれば受給できます。
支給要件として「就労していないこと」はありません。
審査において「就労している=不支給」と単純に決定されるわけではないのです。
では、なぜ仕事をしていると受給できないという誤解が広がったのでしょうか。

それは3つの受給要件の一つである「障害の程度」に関係している場合があるからです。
「仕事ができるのであれば、障害の程度はそんなに重くはないのではないか」という推測です。
そのため障害年金を受給するには「就労していても障害の程度に関する要件に該当する状態である」ことを示す必要があります。

外部疾患の場合

障害の程度に関する要件は、厚生労働省の「障害認定基準」によって基準を満たしているか認定されます。

例えば眼の障害の場合2級の判定基準は「視力の良い方の眼の視力が0.07以下のもの」あるいは「視力の良い方の眼が0.08かつ他方の目の視力が手動弁以下のもの」となっています。
この基準に該当すれば、就労の有無にかかわらず障害の程度は2級であると認定されます。
2級の障害年金が満額支給され、仕事で収入を得たとしても年金が減額される心配はありません。(20歳前障害の場合を除く)

身体の外部疾患の場合、障害認定基準が明確に数値で示されているため、就労の有無はほとんど影響しません。

内部疾患・精神疾患の障害の場合

しかし、見た目では判断が難しい内部疾患・精神疾患の障害の場合は注意が必要です。
内部疾患・精神疾患の障害のは、障害の程度を数値化することができません。
障害の程度は文言で表現されることがほとんどです。

例えば精神の障害の程度は、その原因、諸症状、治療およびその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとされています。

認定基準において障害程度1級の場合「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」とされています。具体的な数値は示されておらず「不要ならしめる程度」とはどのような状態であるのか、その判断は非常にあいまいです。

精神の障害の診断書には日常生活の程度を判断する欄があります。
そこには「(1)普通にできる」「(2)援助が必要」「(3)助言や指導があればできる」「(4)助言や指導をしてもできない若しくは行わない」の4段階から、該当している状態を医師が判断します。
どの程度なら「援助が必要」と言えるのか、人によって判断は違います。その人にとっては「普通にできる」と考えていても、他の人には「援助が必要だ」と感じるかもしれません。

援助の頻度や困りごとの程度を数値化した基準がないので仕方がありませんが、このように判断基準がはっきりしない内科系・精神系の疾患の場合、「就労の有無」が注目され、判断基準に使用されることがあるのが現状です。
そのため、「働いていたら障害年金はもらえない」という誤解が広がったのかもしれません。

関連リンクはこちら

「就労」の判断基準

就労していたら障害年金を受給できないというわけではなく、障害年金を申請するときに注意が必要であるということです。就労しているかどうかは、就労しているかしていないかのどちらかです。しかし、実際に働いている状況は人によって様々なので、働いている、いないで簡単に表現できるものではありません。

精神障害の診断書には「現症時の就労状況」という欄があります。この欄は精神に障害のある方がどのような働き方をしているか(どの程度援助を受けて就労できているか)を確認するために、就労に関する情報をできる限り集めるために設けたものです。
この欄に記載された内容が審査の判断に用いられますが、就労している事実だけで障害年金の支給決定が判断されることはないとしています。ただ単に仕事をしているからと言って、日常生活能力が向上しているとはとらえず、様々な面も十分に考慮して判断することとなっています。

「様々な面」には、仕事の種類や内容、就労時間や就労状況、職場における援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況、職場において援助や配慮がない場合に考えられる状況、就労することによる日常生活への影響などがあります。

診断書に「就労状況」を反映させることが重要

内部疾患・精神疾患の障害を持ちながら働いている人がっ障害年金の申請をする場合、就労に当たっての困難さや職場における配慮やサポートの必要性、その内容などを診断書に反映してもらうことが重要となります。そのためには医師に就労の状況を詳しく伝えなければなりません。

普段の診察ではなかなか詳しく医師に伝えることが難しいと感じている方も多いと思います。
就労状況やサポートの状況、就労したことによる日常生活の状況などをあらかじめメモなどに書いておき、診断書の作成を依頼するときに医師に渡して、診断書作成の参考にしてもらうとよいでしょう。

例えば
・単純で反復的な作業を援助を受けながら行っている
・就労後もジョブコーチや就労支援員のサポートを受けている
・1日の労働時間や1週間の勤務日数を少なくしている
・他の人とコミュニケーションを取らなくてもいいような配慮を受けている
・仕事を終えて帰宅すると、疲れてしまい家事などはできない

就労中でも障害年金を受給できた例

就労しながら障害年金の受給決定された方の一例です。

〇Aさん(基礎年金2級・月額約65,000円)
統合失調症 特例子会社に障害者雇用の正社員で勤務 製造(部品管理)勤続1年 給与18万円

〇Bさん(基礎年金2級・月額約65,000円)
軽度知的障害 サテライトオフィスに障害者雇用の正社員で勤務 事務(データ入力)勤続1年 給与15万円

〇Cさん(厚生障害年金3級・月額約48,000円)
Ⅰ型糖尿病 介護事業所に正社員で勤務 一般事務勤続23年 給与30万円

いずれの方も職場でのサポートや配慮を受けながら仕事を続けておられます。

関連リンクはこちら

「就労」を支える障害年金

働いていても仕事の種類や内容、就労状況、職場におけるサポートの状況などによって、障害年金を受給することは可能です。障害年金を受給しながら就労を続けることで生活費や治療費の不安や負担を軽減することができ、体調が悪い時も無理せず仕事を休むことができます。安心して治療に専念できれば体調の安定や回復につながります。

障害年金は「就労」を支える手段でもあるのです。

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