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障害年金は社会復帰のための制度です



障害年金は老齢年金と同じ公的年金です。年金保険料を支払い、要件に該当すれば、だれでも受給できる年金です。

病気やケガ、あるいは先天性の疾病により、仕事や日常生活に障害がある方の生活を支える上で、障害年金は経済的基盤として非常に重要な役割を果たします。

ところが、この制度は驚くほど知られていません。

医療関係者でも、この制度を理解されている方は少ないように感じます。

また、傷病のために働けなくなったり、生活困窮に至ることを「自己責任」と断ずる方もいます。

しかしそうならないと断言できる人はいないのではないでしょうか。

今回は障害年金に対する誤解や偏見について考えます。

目次

障害年金に対する誤解や偏見

 日本では、100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査結果があります。また、女性の方が男性よりも1.6倍くらい多いことが知られています。うつや統合失調症などの精神疾患に対しての理解はだいぶん深まっているように思えます。学校や職場、社会環境の変化などにより心身の不調を訴える人が多くなってきています。
 精神科への通院も以前と比較すると、だいぶんハードルが低くなってきました。しかし、障害年金の支援を行っていると、まだまだ誤解や偏見を感じることがあります。
 障害年金を受給できるのは肢体障害などの外見でわかる障害だけだろうというイメージが一般的には多いようです。しかし精神疾患や内部障害など外見からはわからない障害を負った場合にも、請求することはできます。
 障害を持っている事実には変わりはありません。
そして社会的援助を受けることに、後ろめたさを感じる必要はありません。

障害年金に対する理解

例えば精神疾患を罹患したことにより、仕事を失って経済的に困窮している人、家族と離れて生活をしなければならなくなった人、家族の介助がなければ生活できず多くの負担をかけていることに心を痛めている人、余儀なく離婚しなければならなくなった人・・・当事者やそのご家族は病気による症状以外にも、多くの困難と闘っています。そのような中でようやく障害年金の存在を知って請求しても、初診日の証明が取れなかったり、診断書に障害状態が軽度に書かれていたりといった理由で、受給することができない方も多いという現実に直面してきました。
 
就労不能や大幅な就労制限を受けることになった時には、収入の途絶や低収入に陥り、他の収入がなければ貧困状態になります。このような状態を回避するためには、生活維持のための収入の道を確保する支援が必要です。
障害年金は一定の収入を継続して受給できることで、貧困に陥ることの防止や貧困からの脱出に大きく貢献しています。収入に対する不安を取り除くことにより、精神的な安定がもたらされ、病気の快復にもつながります。

企業にとってのメリット

人を雇っている組織ではぜひ、障害年金についての理解を深めていただき、障害を負ってやむを得ず職種の変更・休職・離職される方に、障害年金制度について周知していただければと思います。

 病気やケガで仕事を離れなければならないような状況は、だれにでも起こりえることです。そのような状況になった時に企業がどのような支援をしてくれるのか、あるいは邪険に扱われるのか、従業員にとっては非常に関心が高いことなのです。
 企業が親身になって支援を行えば、従業員にとって安心感を得ることができ、自分は良い企業で仕事をしているというプライドにもつながり、生産性を高めることにもつながります。

若者世代の障害年金

 「年金といえば老齢年金」というイメージを持つ人がほとんどだと思われます。しかし公的年金は高齢者だけでなく、若年時に障害を負ってしまった場合にもその後の生活を保障する制度でもあります。この点についてもっと多くの方へ周知されなければなりません。そしてもし障害を負ってしまったなら、適切に制度が利用できるようにするべきです。

 しかし残念ながら障害年金に対する認知度の低さに加え、年金制度が将来的に破綻するのではないかという不安や不信感が若年層を中心に広がっています。このため若年層の国民年金保険料の未納が増えています。  
 年金制度の欠陥や矛盾点などがマスコミでも大きく取り上げられることがありますが、国民年金保険料を納めていないことで障害年金が受け取れないというリスクについては、ほとんど報道されることはありません。
保険料納付要件を満たさないために障害年金請求に至らないケースも、当該傷病での障害年金は生涯にわたって受給できないことになり、深刻な問題です。

 20歳直後の時期は統合失調症の発病やスポーツ等によるケガなどで障害を負うことも多く、国民年金の保険料を期限までに支払うことや、学生納付特例申請等の手続きを行うことが遅れたためにこのような事態に陥るという大きなリスクもあります。

 この年代の人に接する機会の多い高校や大学・短大・専門学校の先生方には、生徒・学生に「20歳になったら国民年金の保険料の納付を期限内にすること、または学生の納付特例の申請を早期にすること」との言葉を贈ってもらいたいと思います。
企業等で新卒の入社を担当される方には、「20歳時の国民年金保険料を納付していなければ即刻納付するように」と促していただきたいです。

社会復帰するための障害年金の使い方

①生活の安定を図る
 病気やけがのために仕事ができなくなったり、収入が減少する不安から障害年金を請求しようと考えます。
経済的な不安はとても大きなものです。まずは目の前の生活を安定させることが障害年金の目的なのです。
障害年金は支給が決定されると次回の更新までは確定した収入となります。精神的な安心材料となります。
初回の更新までは最低1年以上あるので、その間に治療に専念するのか、再就職を目指すのか落ち着いて考えることができるでしょう。

②使い道をしっかり考える
 まずは生活を安定させることが最優先ですが、ある程度生活が回るようになってきたら社会復帰を視野に入れて、ご自身の健康にお金をかけてみることも良いのではないでしょうか。経済的に苦しい時は食べるものなどの質を落していたかもしれませんが、社会復帰を考えた時にはやはり自分の身体のメンテナンスは大事なことです。食生活等を見直し健康回復に充てることも有効でしょう。

 遡及申請で多くの一時金を受給された方の中には、将来のことを考えてすべて貯金に回す方もいます。しかし社会復帰を考えるのであれば健康への投資や、資格取得などのスキルアップに一定額を使うことも良いかもしれません。
 一方で浪費してしまう方も一定数います。遡及請求で多額な一時金が入り、車などの高額な買い物で消費してしまうなどの例です。遡及請求で得られる金額は1回きりなので、すべて使ってしまうと終わりです。
使い道をしっかり考えて、計画的に使っていただきたいと思います。
ただ、精神疾患などでそう状態になると浪費してしまう方もいますので、そのような状況であれば金銭管理をご家族等に託すことも考えましょう。



障害年金は社会復帰のための制度です。

障害年金は、障害があっても自分らしく、自立した生活を送ることを支援する制度でもあります。
「障害年金」という優れた日本の社会保障制度を使うことによって、身体的、心理的、経済的負担を軽減し、生活の維持・安定を図ることが可能です。
そして社会復帰を目指し、ご自身の人生を一歩踏み出していただくことが私たちの願いです。

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